2019/08/28
【退職証明書の基礎知識】離職票との違いや作成時の注意点を紹介

労働者が退職する際には雇用保険被保険者離職票(離職票)以外に退職証明書の発行を退職者から求められることがあります。
離職票は雇用保険の失業給付を受給するときに必要なものである一方、退職証明書がいつ・どのような目的で使用されるか分かっていない、という方も少なくないでしょう。
そこで今回は、退職証明書を使用するタイミングや目的、離職票との違いといった基礎知識を踏まえた上で、退職証明書の作成方法について詳しく解説します。作成時に注意すべきポイントや、効率的に発行するためのヒントもぜひ参考にしてください。
この記事の目次
[閉じる]1.退職証明書とは?
退職証明書は、退職者が「国民健康保険や国民年金の加入手続きをする際」などに必要な書類です。しかし退職者には、退職したことの証明である離職票も発行するため、本当に退職証明書が必要なのか疑問に思う方もいるでしょう。
そこでまずは、離職票との違いや発行義務の有無、企業が退職証明書を発行することのメリットについて確認します。
1-1.退職証明書と離職票の違い
退職証明書と離職票では、発行元や使用目的に次のような違いがあります。
発行元 | 使用目的 | |
---|---|---|
退職証明書 |
退職者が在籍していた企業 | ●国民健康保険や国民年金に加入する際の手続き ●新しい勤務先に提出 |
離職票 |
ハローワーク | ●雇用保険の手続き(失業手当の給付) ●国民年金の失業特例免除など |
退職証明書は離職票を発行する前に発行するもので、国民健康保険や国民年金への加入手続きを進めたい場合に使用します。
また、退職者の新しい勤務先が「その会社に在籍していた事実」や「在籍していた期間」などを確認するために退職証明書の提出を求めることもあります。
その他の退職に伴う手続きは、多くの場合、離職票や雇用保険受給資格者証を提示することで進めることができると考えて良いでしょう。
1-2.退職証明書の発行義務
労働基準法第22条1項において「退職者から退職証明書の発行請求があった場合は、遅滞なく退職証明書を交付する義務がある」と定められています。
企業は労働者が退職した日から2年間は退職証明書の発行義務を負っており、請求があれば退職の理由にかかわらず早めに発行しなければなりません。自己都合での退職や懲戒解雇の場合でも、発行する義務があることに注意しましょう。
退職者からの発行請求を拒否したり理由もなく発行を遅らせたりすると、「労働基準法第22条1項」の規定に違反したとして、労働基準法第120条によって30万円以下の罰金を科されることがあります。退職者からの請求があれば、速やかに対応するようにしましょう。
また離職日から2年を経過した場合は退職証明書の発行義務がなくなりますが、2年以内であれば、退職者は退職証明書の発行請求を何度でも行うことが可能です。離職日から2年間は請求があれば、必ず応じるようにしましょう。
1-3.退職証明書を発行する企業のメリット
退職者からの要望がなければ退職証明書を発行する義務はありませんが、退職者からの請求がなくても任意発行している企業は少なくありません。退職証明書を発行することは、退職者だけでなく雇用主にとってもメリットがあるためです。
最大のメリットとしては、「退職証明書を発行することで、労働基準法違反になることを防ぐことができる」という点です。解雇された労働者が解雇の有効性について裁判所に訴えた場合は、退職証明書に記載された解雇理由をもとに裁判所が判断を下します。
退職証明書に記載された解雇理由が正当なものであれば、経営者が法的な責任を負うリスクを下げることができるでしょう。
退職証明書に正当な解雇理由が記載されていれば、解雇について納得してもらいやすくなります。解雇理由を記載しない場合でも、退職者が次の職場を見つけやすくなるため最終的にトラブルへの発展を防ぐことができます。
このように、退職時に退職証明書を発行しておくことで、さまざまな労働トラブルを回避できます。退職証明書は、請求の有無にかかわらず、発行する方が無難だと言えるでしょう。
2.退職証明書の書き方
退職時や退職後のトラブルを防ぐことができる退職証明書ですが、予めフォーマットが決まっているわけではありません。しかし、退職証明書に記載するおおまかな内容は労働基準法第22条1項にも明記されています。
ここからは、退職証明書に記載する事項や、作成する際の注意点についてご紹介します。
2-1.職証明書の記載事項
退職証明書には次の①~⑤のうち、退職者が請求した事項のみを記載します。退職者が請求していないものは記載することができないため注意しましょう。
- ①使用期間
入社日と離職日といった勤務期間を記載します。 - ②業務の種類
「営業」「事務」など退職者が携わっていた仕事の内容を記載します。
転職先でも前職の経歴を活かしたいという人にとっては非常に重要な事項です。 - ③その事業における地位
「係長」「課長」などといった退職者の役職について記載します。 - ④賃金
その名の通り、賃金(額面)を記載します。
転職先での賃金額決定の基準にもなり得る項目です。 - ⑤退職の事由
その名の通り、退職の事由を記載します。
「解雇」の理由については請求があった場合にのみ記載します。退職の事由の記載を請求された際には、解雇事由も記載するかどうか確認しましょう。
⑤の退職事由は、自己都合や定年による退職などで、退職者と会社側との間で事実誤認がなければ、「離職者の自己都合による」「定年・労働契約期間満了による」などのように、離職理由をそのまま記載しても問題はありません。
ただし、「会社都合による」など書き方によっては次の就業先に「トラブルなど事情があった人なのだろうか」と思われてしまう恐れがあるため、誤解が生じにくい表現にすることも大切です。
また、退職証明書は会社独自のフォーマットで問題ありません。WEB上には、無料テンプレートや参考もあるため、記入例をもとに作成しても良いでしょう。
2-2.退職証明書を作成する時の注意点
ここまで退職証明書に記載する事項について説明しましたが、退職証明書を作成する際は、いくつかの注意点が存在します。
退職者が請求していない事項を勝手に記載することは、「労働基準法第22条3項」に違反します。トラブルを避けるためにも、退職証明書に記載できる事項について退職者に説明し、その上でどの項目を記載すると良いかを確認してから作成することを推奨します。
また「労働基準法第22条4項」において、転職活動や再就職を妨げる目的で退職者の国籍や信条、社会的身分、労働組合活動などの情報を、退職証明書に記載することは禁止されています。退職証明書に記載できる事項以外の情報は、記載しないようにしましょう。
3.算定基礎届の注意ポイント
退職証明書の作成には意外と手間や時間がかかるものです。WEB上にテンプレートもありますが、発行手続きが面倒という企業も少なくないでしょう。そこでおすすめなのが、「人事労務管理の電子化」です。
退職証明書などの書類を発行するためには、適切な労務管理を行う必要があります。しかし、企業の人事部がそれぞれ労働者のデータを手動で管理することは容易ではありません。電子管理システムを利用すれば適切かつ、効率的に労務管理を行うことができ、書類の作成や配布、役所への申請手続きといった人事労務担当者の手間も大幅に削減されます。
人事労務管理を電子化すると、入社者との雇用契約の締結、結婚における配偶者の扶養者加入手続き、退社手続きといった事務手続きを労働者が直接入力できます。そのため、人事などの担当者が書類を配布したりデータを変更・計算したりといった手間がかかりません。
オンライン申請にも対応しており、市役所などに足を運ぶ手間も省くことができます。セキュリティも強固であるため、マイナンバーなどの個人情報も安心して取り扱うことができます。
離職票や労災通知書などの公文書、給与明細はオンラインで確認でき、ダウンロードや印刷も労働者が自由に行うことができます。もちろん、今回説明した退職証明書も簡単に作成することが可能です。
4.まとめ
退職証明書は退職者からの請求があれば発行しなければならない書類です。無用なトラブルを避けるためにも、発行請求の有無にかかわらず企業側で作成しておくことをおすすめします。
退職証明書のフォーマットは企業独自のものでも問題ありませんが、記載するべき項目が決まっていることには注意しておきましょう。退職者からの請求があった事項のみを記載しなければならないため、前もって退職者に確認しておくことが大切です。
また労務管理の電子化は、各種手続きもクラウド上で手軽に行うことができます。人事労務の管理業務を効率化できる電子システムの導入は、企業にとっても労働者にとってもメリットが大きいものとなるでしょう。
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