2020/11/25
給与明細の電子化|メリットと実施に伴う注意点を解説
給与明細の発行は、企業に毎月発生する業務の1つです。
紙媒体の明細書は、人事労務担当者・総務担当者が印刷したり、従業員(社員)に配布したりするだけでも手間がかかるため、給与明細の電子化を検討している企業も多いのではないでしょうか。
今回は、給与明細の電子化の具体的な内容や、電子化することのメリット・デメリットおよび注意点について解説します。
最後には給与明細の電子化をサポートするツールも紹介するため、労務に関する管理部門の業務効率化を図りたい方は必見です。
この記事の目次
[閉じる]1.給与明細の電子化とは
給与明細の電子化とは、各従業員に毎月発行している給与明細や賞与の明細を電子化し、配布するシステムを指しています。
これまで給与明細を書類で渡していた企業も多いことから、「給与明細の電子化は法に触れないか」と不安に感じる方も多くいるでしょう。
結論から言うと、給与明細の電子化は違法ではありません。
給与明細の電子化は、2007年(平成19年)の税制に関する法改正によって認められるようになりました。
所得税法上では、給与明細を電子化することに対し従業員から同意を得る必要がありますが、同意を得ることができれば給与明細の電子化が法律上可能となります。
実際に、電子化された給与明細を各従業員に配布している企業も多数存在しています。
では、給与明細を電子化する方法にはどのようなものがあるのでしょうか。
国税庁では、以下の3つの方法が示されています。
■給与明細を電子化する方法(国税庁より)
- ①電子メールを利用する方法
- ②社内LANやインターネットを利用して閲覧できるようにする方法
- ③CD-ROMやUSBメモリなどの記憶媒体に記録して交付する方法
出典:国税庁「1.基本的な事項」
一般的には①や②の手法が用いられており、②ではクラウド上で従業員に確認してもらう方法なども広く浸透しています。
2.給与明細の電子化によって生じるメリット
給与明細の電子化は法律的にも認められており、電子化のシステムを導入することで、企業側にも従業員側にも大きなメリットをもたらします。
では、給与明細の電子化によって生じるメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
ここからは、企業側(主に人事担当者や労務担当者)のメリットと、従業員側のメリットについて、それぞれ詳しく解説します。
給与明細の電子化を検討している企業の方は、メリットと自社の環境を照らし合わせ、導入後の労務管理についてイメージしましょう。
2-1.人事・労務担当者にとってのメリット
給与明細を電子化することで、企業の人事・労務担当者が得られる主なメリットには、下記2つが挙げられます。
①コスト削減に繋がる
給与明細を紙に印刷してそれぞれの従業員に配布する場合、コピー用紙の料金やインク・トナー代、さらに人的コストなど、発行に伴う相当のコストがかかります。
近年では在宅勤務やテレワークが推進されていることもあり、郵送コストがかさんでいる企業もあるのではないでしょうか。
給与明細を電子化し、メールの添付ファイルやクラウド上などで従業員が確認できれば、これらの管理コストを削減できます。
ペーパーレス化も進められるため、書類管理やコピー用紙などの在庫管理などに割く時間も減らせるでしょう。
②業務効率化を実現できる
紙の給与明細書を配布する場合、「印刷する」「誤りなく封入する」「配布する(手渡し・郵送など)」といった手間がかかります。
給与明細の発行は毎月発生する業務であるため、封筒への入れ間違いや送付先の書き間違い、郵便事故などといった手続き上のトラブルが発生するおそれもあるでしょう。
給与明細を電子化することにより、紙の明細書を発行する場合よりも、発行作業に関わる担当者の手間を大きく削減し、リスクを低減することができます。
関連業務の効率化の実現により負担が軽減し、クリエイティブな業務に注力できるようになるでしょう。
2-2.従業員にとってのメリット
給与明細を電子化することは、企業だけでなく従業員にもメリットがあります。従業員が得られる主な3つのメリットを確認しましょう。
①データ管理が簡単になる
従業員が個人で確定申告を行う場合や、社会保険の保険料や残業代をチェックしたい場合など、従業員が過去の給与明細を確認したいと思うケースは珍しくありません。
給与明細を電子化しておくとデータ管理が簡単になり、確認したい年月の給与明細をすぐに見つけて確認できるというメリットがあります。
②給与明細を紛失するリスクが減少する
紙の給与明細は適切に保管・管理しておかなければ、紛失してしまうリスクがあります。
給与明細を電子化しておくと、元のデータが消失しない限り、いつでも給与明細を確認することが可能です。
③好きなタイミングで給与明細を確認できる
紙の給与明細の場合、保管している場所でなければ内容を確認できません。
一方、給与明細を電子化すれば、スマホやタブレット、パソコンなどから好きなタイミングで給与明細をチェックすることが可能です。
確認したいタイミングで給与明細を閲覧できれば、従業員の時間の有効活用にも繋がります。
3.給与明細の電子化に関する注意点・ポイント
給与明細の電子化には多くのメリットがある一方で、給与明細を電子化することによるデメリットや注意すべきポイントも存在します。
電子化システムを導入する際に気を付けるべきポイント・問題点とともに、解決策を確認し、自社に合った給与明細の電子化を検討しましょう。
3-1.従業員からの同意が必要である
給与明細を電子化する場合、「それぞれの従業員から同意を得ること」が所得税法で義務付けられています。
給与明細の電子化を進める際には、従業員に対してメリットやデメリットを丁寧に説明したり、意見を求めたりといった同意確認を得るための努力が必要です。
また、給与明細の電子化を承諾してくれた従業員に対しては、承諾したことを証明する書類を作成する必要があります。
書面や電磁的方法(Web上での契約書類)などで同意証明書(同意書)を作成しておきましょう。
同意しない従業員がいる場合、対象者には紙の給与明細を発行する必要があります。
同意しない理由を掘り下げ、給与明細の電子化のメリットや給与明細を紙で発行することのデメリットについてきちんと説明し、理解を得られるよう対話をすることが重要です。
3-2.PCやスマホを持っていない従業員への対応が必要である
給与明細を電子化した場合、基本的にはPCやスマホ・タブレットなどといった端末で給与明細の内容を確認することとなります。
しかし、業務にこれらの端末を利用しない従業員がいる場合や、プライベートでこれらの端末を持っていない従業員がいる場合は、従業員ごとに個別で対応する必要があるため注意が必要です。
PCなどの端末を自由に利用できず、閲覧環境が整っていない従業員に対しては、紙の給与明細を別途発行しなければなりません。
管理者側が給与明細を印刷し、手渡しできるようなシステムを検討しましょう。
3-3.情報漏洩の危険性がある
給与明細を電子化すると、さまざまな端末から都合の良いタイミングで給与明細を確認できるメリットがありますが、情報漏洩の危険性があることにも注意が必要です。
給与情報は重要度の高い個人情報であるため、安心して利用するためにも、情報管理のセキュリティ対策を講じるとともに、従業員向けのセキュリティ教育を行いましょう。
3-4.既存システムとの相性に配慮が必要である
給与明細の電子化システムを導入する際には、すでに会社で使用しているソフトやアプリ、システムとの相性が良いものを選びましょう。
自社の既存システムとの相性を考慮せずに、新しく給与明細の電子化システムを導入した場合、下記のようなトラブルが起こる可能性があります。
- ・予想以上に作業の時間やシステム導入のコスト・運用コストがかかる
- ・過去の明細データ・給与データが消失してしまう
- ・会社の実情・現状とマッチしていない
給与明細の電子化が実現できる製品・ツールには、「DirectHR」をはじめとしたさまざまなものがあります。
サービス内容を比較検討し、既存のシステムや自社の実情に合ったものを選ぶようにしましょう。
4.まとめ
「給与明細の電子化」は従業員の同意が必要ではあるものの、法律上認められている方法です。
給与明細を電子化することで、人事労務に関するコスト削減や業務効率化、従業員の利便性向上など多くのメリットがある一方、導入時はもちろんデメリットや注意点もあります。
これらを総合的に判断した上で、自社にとって適切な電子化の方法を検討しましょう。
「DirectHR」は給与明細の電子化だけでなく、雇用契約書などの申請書類の作成といった、さまざまな労務管理業務を効率化できるツールです。
入社から退職までのあらゆる労務管理業務を効率化して業務負担を軽減し、よりクリエイティブな業務に力を注げるようなシステム選びを行いましょう。
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