導入初年度から800時間の業務削減!削減できた時間で従業員サービス向上を実現!

今回は、カゴメ株式会社総務部の小森様に、社労夢Company Edition(以下「社労夢」)導入の経緯と、その効果について伺いました。
2018年から「社労夢」を導入いただき、カゴメ株式会社(以下カゴメ)、カゴメアクシス株式会社(以下カゴメアクシス)、カゴメアグリフレッシュ株式会社(以下カゴメアグリフレッシュ)のグループ3社分の社会保険業務全般の手続きを行っています。
従業員数はカゴメ本体、カゴメアクシス、カゴメアグリフレッシュを合わせて、約2200名(契約社員を含む)。カゴメ本体では毎年約150名を採用しています。
【カゴメおよびカゴメアクシスの事業内容・特徴】
カゴメ株式会社
カゴメは1899年(明治32年)に愛知県で創業し、日本の食を見つめ、新しい食のあり方を120年にわたり提案しています。そして現在、飲食料品等の加工商品の他に、生トマトやベビーリーフなども栽培・販売しています。「自然を、おいしく、楽しく。」野菜の価値を追求し、さまざまな形でお届けすることで、人と社会の健康に貢献していきます。また、その先の目指す姿として「トマトの会社から、野菜の会社に」という長期ビジョンを掲げています。
カゴメアクシス株式会社
カゴメアクシスは、カゴメのシェアードサービス子会社です。
カゴメの他に、昨年1月から業務を開始したカゴメアグリフレッシュ、それ以外にも5つのグループ会社のシェアードサービス会社として、2016年4月に設立しました。

【導入の経緯】
–「社労夢」を導入された経緯を教えてください。
雇用保険電子申請の導入検討は、2020年の政府による社会保険電子申請義務化よりも前の2015年に開始しました。
当時は、全国17拠点(支店・工場など)で同じ雇用保険業務を行っていました。例えば、名古屋には3拠点(本社・名古屋支店・カゴメアクシス本社)があり、それぞれの担当者が雇用保険の書類を作成し、ハローワークに提出をしていました。それぞれが同じ作業を行っているのなら、1ヶ所に集めた方が良いと思い、一番、業務量が多く、手間のかかる雇用保険の巻き取りをシェアードサービスで行う想定でいました。
そこで、2015年4月に最初はe-Govでの試行を開始しましたが、操作がとても難しくてすぐに断念しました。ペーパーレスになり、ハローワークへ行く時間もなくなるのですが、e-Govではファイルが整理できなかったり、履歴が残らなかったりしたため、結局、紙で印刷して保管作業を行っていました。改善のため、電子申請のソフトを探し始め、場所を問わずに業務を行えるクラウド製品であることや、他社よりランニングコストが抑えられることが決め手となり、「社労夢」の導入を決定し、2018年4月より運用を開始しました。
-導入にあたり苦労された点はどこでしょうか。御社では人事給与システムとのデータ取込箇所をカスタマイズしましたが、特に大変だったことはありましたか。
今回の導入の決め手となった、既存の人事給与システムと「社労夢」をシームレスに連携させて、自動的に必要な手続きが生成される『手続進捗管理』(※)の運用部分の構築が最重要課題でした。そのためお互いのシステム担当者間で細部の確認作業が多かったですが、密に連携しましたので、安心して任せることができたと思います。エムケイシステムさんのシステム担当者もとても詳しく、人事側からの要望も特に必要ないほど、スムーズで最適な設計をカスタマイズしていただきました。
(※『手続進捗管理』とは「社労夢」の機能のひとつで、必要な手続きを一覧で管理し、提出期限に応じて4種の色分け表示やログイン時にアラート表示させることで申請漏れや遅れを防止することができます。(特許取得済み))
-導入時の準備体制や社内の反応はいかがでしたか。
最初のプロジェクトは、イノベーション本部(研究所)と一番大きな工場の雇用保険担当者、私を含めて社労士2名、システムの給与計算担当者2名の計6名で行っていました。また、カゴメアクシスの設立により、社内でも人事・労務関連の業務集約と効率化への期待が高まったのも大きな追い風となりました。その背景には、いかに日頃の人事手続き業務の中で非効率を感じていたかだと思います。最も忙しい工場の雇用保険担当者は「自分で電子申請をやろうと思っていた」と話していたほどです。
【運用について】
-現在の運用状況はいかがでしょうか。
「社労夢」での昨年度の処理件数の実績は1706件(2021年時点)でした。うち雇用保険1163件、厚生年金408件、健康保険125件、労働保険料計算10件です。
この数字も「社労夢」によって、短時間で正確に把握できるようになりました。
月に1回、給与データと人事データの取り込みをそれぞれ行っています。所要時間は2時間程度ですが、ボタンを押すだけで、その間に他の作業ができるのでとても助かっています。
■「社労夢」の利用で現状把握し課題が明確化。人事総務として対策に向けた高度な議論が可能に。

-導入効果の実感はいかがでしょうか。
一つは業務時間の削減です。今までハローワークへ行って、順番を待って、帰ってくる、という時間も読めず他の作業もできない業務を削減できたことは、とても大きな成果だと感じています。
初年度は雇用保険から運用をスタートし、800時間の削減に成功しました。また、雇用保険の運用安定後に厚生年金と健康保険へ手続きの範囲を拡大しました。厚生年金と健康保険手続きに関しては、少なく見積もっても100時間の削減ができています。
紙で行っていた時は手続きにかかる時間の他に、行政から戻ってきた公文書のファイリング作業や探す時間がかかっていたので、実際にはもっと削減された実感があります。
もう一つは「社労夢」導入により、契約社員の出入りを正確に把握できるようになり、問題の発見・分析・対策が今までより高いレベルで、できるようになったことです。
紙で入退社手続きをやっていた時は、在籍人数はわかっても、年間で何人入社し、退社したかを把握するのは難しかったです。「社労夢」導入後は、すぐに確認することができるので人事労務関係の問題発見、分析に役立っています。
例えば、ある工場では他の工場より10倍の契約社員の採用と退職があったことが分かりました。ヒアリングすると周囲に採用環境上の競合他社があるなど、より労働者目線を知るきっかけになりました。また、人の出入りが多いことで、仕事上のミスも多いという因果関係も分かりました。人の出入りが多くなるということは、雇用保険の手続きも多くなりますが、それ以外にも採用活動や作業服の貸与、安全教育等の時間も増えるのです。そこで“もっと定着化させるにはどうしたら良いか”という方向に施策が動きやすくなりました。
問題把握と分析がしやすくなり、課題に対して人事総務として、どういった手を打っていくかという、今までより高度な議論ができるようになったのは一つの大きな成果です。
-「社労夢」の導入により困ったことはありませんでしたか。
導入時にカスタマイズをしたこともあり、あまり処理担当者に雇用保険の知識がなくとも手続きを作成することができるようになりました。但し、手続き業務を効率化できたことにより、事業所の総務担当者の社会・雇用保険に関する知識レベルが落ちてしまったと感じることがあります。昔は担当者が自分で法律を調べて書類に記入して、ハローワークに持って行き、間違いがあれば持ち帰り、修正してまた出し直しという工程の中で、法律やお役所の対応を覚えていきました。
初めは便利になったことで、手続きの知識はなくても良いと思っていたところもありましたが、従業員が退職してハローワークに行った際に、サポートできるくらいの知識も必要だと改めて感じています。
手続き的な業務はシステムに任せつつ、退職者へのサポートや社内の福利厚生制度を含めて良く知って活用するなど、従来とは異なる方法で総務担当者の社会保険知識レベルの向上も考えていきたいです。
できればエムケイシステムさんで「雇用保険のツボ」的な担当者教育用の動画教材などを作ってもらえると助かるんですが・・・(笑)例えば入社時の手続きは何日後までに提出しないと駄目だとか、育児休業給付申請の1回目と育休延長時の申請方法、高年齢雇用継続給付申請の1回目などですね。
(エムケイシステム:ありがとうございます!グループの社団法人 社労夢全国会で検討を進めます。)
■「社労夢」利用で削減できた時間を使い、従業員サービスの向上を図り社内DXを実現!
-業務時間削減の実績が評価され、社内で「カゴメ労働生産性向上優秀事例賞」を受賞されたそうですね。一般的に人事業務は社内で評価される機会が少ないかと思いますが、カゴメさんはきちんと評価し、賞などの制度があるのも素敵ですね。

2018年に先ほどお話をしたように、各事業所の人事手続きを電子申請へ転換し、800時間の業務効率化を図ったことなどが評価され社内表彰されました。
今はこの削減された時間を何に使うのかを提案し、従業員サービスの向上を実行しているところです。
具体的な取り組みとしては、「ほけんのカゴメインフォメーション」という社内サイトを作り、2021年10月に公開しました。
事業所の雇用保険担当者が電子申請化で浮いた時間を使って、社会保険や生命保険、損害保険等でどんな質問を受けているかを担当者に聞いてまとめたFAQサイトです。このサイトはSharePointを使い、プロジェクトメンバーが制作しました。
ライフステージ別に、結婚したら、子どもが産まれたら、子どもが社会人になったらどうするかなど、厚生年金、健康保険、生命保険、確定拠出年金など多岐にわたる手続きを一目瞭然に分かるようにしました。
サイト構成としては、ざっくり分かる解説ページからFAQに飛ぶことができ、とことん知りたい人向けに社内のファイナンシャルプランナーとメールでやり取りして最後までナビゲーションできるように設計しています。つまり従業員の人生設計をする上で資産形成や健康、福祉に役立つ情報をリアルタイムで確認できるポータルサイトになっています。
-そういった内容は社内の長年勤務されている方でも知らない方もいるでしょうし、なかなか聞く機会がなく、改めて聞くのも気が引けるところだと思うので、サイトで気軽に見られるのはとても良いですね。
そうですね。入社時に案内しても、仕事への関心の方が高くて覚えていないでしょうから、必要性が出たときにいつでも確認できる環境を作れたのは良かったと思います。なお、今期は動画も制作したいと思っています。
-「社労夢」で業務効率化を果たし、総務業務に変革を起こして組織をより良くしていく様は、まさに社内DXを実現していますね。
ありがとうございます。従業員の定着化やエンゲージメント向上にも繋げたいと思います。この取り組みを、次の社長賞にエントリーしています。(笑)

■グループ会社の社会保険業務運用に社労夢BPOという最適な選択肢
-2021年1月より、グループ会社「カゴメアグリフレッシュ」様の社会保険、雇用保険業務を社会保険労務士法人小林労務(以下小林労務)に委託いただいておりますが、その経緯や業務・運用について教えてください。
2020年10月のカゴメアグリフレッシュ設立当初、カゴメアクシスに社会保険業務全般の依頼がありましたが、カゴメアグリフレッシュには社労士がいないことから、(社会保険労務士法により)業務を担うことができない問題に直面していました。大変困っていたところに、エムケイシステムさんから社労士法人さんをご紹介いただきました。私にとっては不慣れな設立に伴う手続きのフォローもしていただき、すんなりと設立の諸手続きができました。実際の運用方法ですが、人事給与システムから「社労夢」に連携された手続きに必要なデータを、小林労務さんが確認し、電子申請を行います。「社労夢」でほぼ完璧なデータが出来上がっていることもあり、小林労務さんとは低価格での委託顧問契約で済んでいます。
2021年は社会保険が30件、雇用保険が31件の手続きを委託しています。また、社労士法人にはそれぞれ得意分野をお持ちの社労士さんがいらっしゃるので、どんな質問でもいち早く専門的な回答を得られることも、とても心強く感じています。

【今後の展望について】
-「社労夢」について課題や期待はありますか。
現行システムの問題は特に感じていません。強いていうならe-Govでしかできない定期健康診断結果報告書なども巻き取ることができたらなと思っています。また、同意書等のフォーマットが変わった際の情報提供も、分かりやすくお知らせしてくれると嬉しいですね。他には先程もお話しましたが、雇用保険の基礎知識が落ちている問題について、現在はコロナ禍のためハローワークで講習を行っていないので、WEB研修をやってもらえるといいなと思っています。「社労夢」の操作指導については、操作自体が簡単なので社内マニュアルで対応ができるのですが、雇用保険のツボなど教育部分のサービスがあれば是非活用したいです。
–御社の今後の展望や目標をお聞かせください。
入社時の様々な会社への情報登録を本人が入力できるようにしていきたいです。現在、入社時の登録は入社に必要な情報を紙で収集していて、管理部門が収集した紙を見ながらシステムに手入力しているため、この業務が一番手間で、ミスも起きやすいと感じています。そのため、エムケイシステムさんの「DirectHR」などシステム導入を検討していますが、スマホを持っていない人への対応が課題となっています。100%の従業員利用は無理だとしても、できる限り効率を上げていける施策を考えていきたいです。年末調整業務についても「eNEN」を含め検討していきます。
また、今後社内に社労士がいなくなった場合の運用体制についても、長い目で見て検討して行きたいと思っています。今後、子会社が増える可能性もありますので、事業所の社会保険レベルを落とさず、従業員サービスの水準を上げつつ、長期的運用体制について模索していきます。

社名 | カゴメ株式会社 |
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業種 | 製造業・メーカー |
従業員数 | 2200名(カゴメ、カゴメアクシス、カゴメアグリフレッシュおよび契約社員を含む) |
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担当社労士名 | 総務部 小森哲様 |
取材日 | 2022年1月 |