まずは、事務所の概要についてお聞かせください。
万田先生:大阪と東京に支店があり、トータル18名で運営しています。組織は、訪問など顧客対応をする部署と電子申請含め申請をする部署、比較的規模の大きい会社のアウトソースを受けている部署の三部署があります。特徴としては、創業当初(昭和36年)から残業をしないという決まりがあって、それを今も継続しています。就業時間は8:45~17:30で、17:30を過ぎると皆を一斉に帰宅させています。その為、締日・支払日に追われる給与計算は出来る限り受託しないようにしています。どうしてもと依頼されて受けている顧問先もありますが、顧問契約300社ほどの内、給与計算は20社弱と恐らく極端に少ない件数だと思います。
残業抑制はいま話題になっていますが、昔から取り組んでいるというのはすごいですね。
万田先生:昔からの取り組みと言えば、顧問先同士の親睦を深める取り組みを行っています。オーナーの伊藤相談役が、事務組合の母体となった近代労務管理センター(現在は一般社団法人化)という異業種の会を昭和63年に発足させ、当事務所の慰安旅行の際にその会の構成員にも声をかけ結局20数人で2泊3日の旅行に行きました。私(当時18歳)は入所当時、両親・祖父母と同じくらいの年齢のお客様ばかりで、やり取りに苦慮していたのですが、旅行という時間を共有して距離が近づき、その後は私の説明にも納得していただけるようになりました。お客様とのコミュニケーションが取れるということは非常に大切であり、業務遂行がスムーズになったのを実感できた出来事でしたね。近代労務管理センターは、去年で30周年を迎え加入企業は150社ほどになりました。今は研修会を年6回、ゴルフを年3回、海外旅行も年1回開催しています。そうして接点が増えると、顧問先とのきずながとても太くなり、突然契約解除を突き付けられることも無いですし、親しみを持ってお知り合いの企業を紹介いただくというような良い循環も生まれています。今在籍している若いスタッフも業務の助けになっているでしょう。これは永年の歴史による積み重ねで、他の事務所ではなかなか同じことは出来ないのではないかと思っています。
■時代の流れに合わせた適切なツールの選択も「社労夢」で実現可能に。
最近はIT化の流れもあって、システマティックな繋がりも増えているかもしれません。
万田先生:当然、業務はシステマティックに進めています。電子申請を使える手続きは100%電子申請で処理していますが、それだけでは十分でなく様々なシステム化を図っていかなくてはなりません。
また、顧問先とのやり取りを全て電子化できているかというと、残念ながらそこまでは至っていません。「紙でないと」と言われる顧問先も一部いらっしゃいますからね。ただ、我々の事務所も今は三代目ですが、同様に顧問先も二代目三代目の時代になってきています。一昔前まではお互い齟齬のないように、FAXでやり取りしていたものが、今ではメールや『ネットde受付』になり、将来的には『DirectHR』でしょうか?時代の流れでツールが変わってきています。そして、最近新しくお付き合いを始めた顧問先や代替わりをされる顧問先などは、新しいツールを望む傾向が明確になってきています。そのことからも、当然のことながら当事務所が情報をやり取りするツールも時代の流れに乗って切り替えていかなければならず、その延長で電子化もより一層進めていかなければと考えています。