事務所の概要および主要業務をお聞かせください。
1970年に開業しました。八王子・三多摩地区のお客様を中心に、給与計算・勤怠管理のアウトソーシング、社会保険手続き、助成金申請、賃金制度・就業規則の作成・運用、人事考課制度の作成・運用、労使トラブルの解決、社会保険未加入対策、残業代対策などの業務を行っています。顧問契約は650社以上、5年の契約継続率98%、従業員数1人から数千人規模まで対応しており、多くのお客様にご満足いただいていると考えています。
当事務所の特徴は、事務的な手続きだけでなく、人事・労務の悩みをお客様に寄り添って解決の道を探るお手伝いができること。課題のある社員や労働組合に対する対応、実態に合った形での労働法の適用、法的に対応が難しい部分の解決など、さまざまな人事・労務の相談を会社側の立場で一緒に解決策を考えています。
■『社労夢』で業務パフォーマンスの向上を目指す
『社労夢』はいつ頃導入されたのでしょうか。
20年程前だったと思います。当初はオフコンで業務を行っていましたが、汎用的なWindowsパソコンでの業務が一般化してきたこともあって、「1人1台のパソコンで業務パフォーマンスを向上させる」を目的に『社労夢』を導入しました。
2023年の後半は『社労夢』の利用を停止されていますよね。
2023年6月5日に『社労夢』が不正アクセスによりサービス停止したためです。エムケイシステムにとっては災難だったと思いますが、利用する我々としては不安を覚えました。
長年愛用してきた『社労夢』ですが、別のシステムに切り替える決断をしました。
2024年1月には『社労夢』の利用を再開いただきましたがその時のことを教えてください。
2つのシステムを利用した結果、それぞれの方向性の違いが分かりました。『社労夢』は複数の顧問先に対応する社労士事務所向けのシステムでしたが、切り替えた製品はひとつの企業内の人事・労務を前提としたシステムで社会保険労務士の視点でのチェックがしにくい、お客様に提供するデータの抽出が難しいなど『社労夢』で可能だった機能ができなかったため、職員の工数は増加してしまいました。そこで、エムケイシステムが発表した「外部専門機関と連携した情報セキュリティ面の強化および再発防止のための対策」に期待し、『社労夢』に戻すことにしました。複数のお客様のマスターをしっかり管理できる機能など、社労士事務所としての業務を行う機能は『社労夢』がきめ細やかなものになっている点があり、社内会議で職員から切り替えたシステムで年度更新、算定基礎届のシーズンに入ると残業が増えて困る。社労夢に戻してほしいとの声が殆どだった為に利用再開を決めました。
わずか数カ月の期間とはいえ、2つのシステムを真剣に利用したことは、さまざまな意味で良い勉強になったと思っています。
■社労士事務所としての業務を行うには『社労夢』が最適
『社労夢』に戻したポイントを教えてください。
『社労夢』は特定の人や年齢などの条件での抽出ができ、お客様に提供することができます。例えば、健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額変更届のような報酬額が変わる手続きのチェックなどの際、データの取り込み等が柔軟に対応することが出来、様々な会社の基本給や諸手当の昇給等が管理できるので「工数が少なくできる」故に「ミスの防止」に役立ちます。
賃金体系が様々な複数の会社を管理するという社会保険労務士事務所ならではの課題に対して柔軟性のある『社労夢』は、社労士事務所のシステムとしては非常に素晴らしいといえるのではないでしょうか。
お客様の個人情報を守るため、山本労務様ではどのようなセキュリティ対策を行っていますか。
我々はお客様の個人情報にタッチする業務ですから、セキュリティ対策は万全を期する必要があります。当事務所ではプライバシーマークを取得し、個人情報における情報セキュリティのフレームを策定して、全職員に個人情報を守る意識を徹底させています。
具体的な施策としては、まず、USBメモリーの利用は禁止しています。そもそもUSBをさしても読み取れないシステムを導入しました。さらに、クラウドへのバックアップシステム、マルウェアやランサムウェアなどのような挙動を検知した際にパソコンをシャットアウトする出口対策、専門機関による24時間365日監視のSOC(Security Operation Center)サービスも導入しました。
感染防止対策だけではなく、システム会社や警視庁からもアドバイスを頂き、ランサムウェアに攻撃される前提で「侵入されても情報漏洩を限りなくゼロに近づける」「確実にバックアップを取ることで業務への影響を最小限にする」といったセキュリティ対策をとりました。月々のセキュリティー費用は高額になりましたが、重要なのはお客様にご迷惑をかけることなく、個人情報を守りながら継続して業務を行うことです。これからも有益なセキュリティ対策の情報をキャッチアップしつつ、適宜、対応を強化していきたいと考えています。
業務における今後の展開をお聞かせください。
人事・労務の業務を効率化するため、積極的にDXを推進していくつもりです。そのためには、当事務所はもちろん、顧問先であるお客様にも『社労夢』と連携する労務管理システムを導入していただく必要があります。現在はご提案するにあたり、労務管理システムの課金のところがネックになっています。
入社だけでも課金の仕組みを再考いただければ、DX推進の大きな後押しになります。あるいはハウスプランの上位に、お客様が労務管理システムを自由に利用できるプランを用意するのもアリかと思います。DX推進は我々が生き残っていくための施策でもありますから、ぜひご検討いただけますと幸いです。
最後に『社労夢』への期待をお聞かせください。
近々に『社労夢』の新バージョン、『社労夢FOREVER』がリリースされると伺っています。マルチデバイス・マルチブラウザに対応したWEBアプリケーションと聞いていますので、当事務所としても非常に期待しています。また、『社労夢FOREVER』はサーバーにかかる負荷を改善したクラウドの仕組みに変更されるとのこと。こちらにも大きな期待を寄せています。
ユーザーサポートについても、チャットボットなどのツールを活用してFAQを充実させると伺っています。『社労夢』を利用し続けていくには、エムケイシステムさんのユーザーサポートは欠かせませんから、こちらもぜひお願いします。これからも『社労夢』とともに歩んでいくつもりですので、引き続きご支援ください。
取材:2024年2月