事務所の概要および主要業務についてお聞かせください。
経営コンサルタント、採用支援コンサルタント、社員教育・各種研修、労使トラブル相談・解決、給与計算委託、社会保険手続代行、助成金申請などが主な業務です。当事務所の大きな特徴は、すべての入り口がコンサルティングから始まるところです。まずは人事やコンプライアンスなど、企業が抱えるさまざまな課題を伺い、優先順位をつけて改善・改革に取り組んでいきます。もちろん、そのなかで社会保険や給料計算のご依頼があれば、当事務所で対応いたします。
また、コンサルティング業務の一環として、さまざまな分野の専門家とアライアンスを組み、細部にわたる専門知識をもとに適切なアドバイスを提供するヒューマンキャピタル・コンサルタントを主宰。ほか、静岡県社会保険労務士会の副会長を務めさせていただいております。
当事務所の業務環境における特徴は、『社労夢』やチャットツールの導入、内線電話の転送などにより、すべての職員がリモートワークで働けることです。例えば、子どもが新型コロナウイルスに感染した場合、子どもに付き添いながら、自宅で業務をすることができます。職員が自宅で仕事をしていることに顧問先が気づかないぐらい、リモートワーク環境は整っていると自負しています。
■『社労夢』ハウスプランのフル活用が当事務所のモットー
『社労夢』導入の背景をお聞かせください。
もともとは別のシステムを利用していました。非常に良いシステムでしたが、法改正があった場合の対応が当事務所の求めるものとは異なっていたため、新たなシステムを考えるようになりました。また、顧問先企業が増えてきたことも理由のひとつです。複数の顧問先企業の処理を快適に利用できるシステムを導入したいと思い、さまざまな社労士向け業務システムのメーカーやベンダーとお話する機会をいただきました。
『社労夢』を導入した決め手は、クラウドシステムという点です。また、社労夢は面倒な設定や仕組みを構築しなくても、顧問先の複数の情報を容易に取り扱うことができます。そして、エムケイシステムさんの営業担当の的確なアドバイスが素晴らしかったことも大きな要因です。そこで、2019年12月に『社労夢』ハウスプランを導入しました。
導入して5年が経過した現在の『社労夢』の利用状況についてはいかがですか。
「『社労夢』のハウスプランで提供されている機能はすべて利用する」ことを当事務所のモットーに掲げています。それは顧問先も例外ではありません。とくに顧問先企業と社労士事務所を繋ぐDX支援アプリ『ネットde顧問』の活用を推進しています。
勤怠情報・給与計算関連における顧問先の『ネットde顧問』活用状況は、『ネットde就業』を活用している顧問先が全体の1/3、『社労夢』のExcel連絡表という機能を利用し、Excelを当事務所でそのまま社労夢に取り込む方法が1/3、残りの1/3は顧問先企業が自社で給与計算を行っています。自社の場合も、その約半数は給与計算システム『ネットde賃金』を利用している状況です。おかげさまで、当事務所が勤怠情報の集計に時間をかけたり、顧問先に訪問して給与計算を行うようなことはありません。
『ネットde顧問』をフル活用している400人規模の顧問先もいらっしゃいます。勤怠管理については打刻に『ネットde就業』、給与計算は『ネットde賃金』を活用。入社退職などの手続依頼はWeb画面から送信できる『ネットde受付』、『社労夢』に登録されている従業員データをWeb上で閲覧できる『ネットde台帳』も活用されています。さらに、マイナンバーをクラウドでセキュアに保管・管理する『MYNABOX』も活用するなど、当事務所で行う業務は本当にわずかという状況です。
■「『社労夢』に合わせること」が顧問先の業務効率化につながる
『社労夢』のハウスプランをフル活用している理由を教えていただけますでしょうか。
一言でいうと業務効率化です。先ほどの400人規模の顧問先を例にすると、もともと末締18日給与支払で当事務所には15日あたりに勤怠・給与データが到着していたため、非常に慌ただしく業務を行わなければなりませんでした。『ネットde顧問』導入後は10日あたりには勤怠データが到着するようになり、現在は業務に余裕が生まれています。本当に重要なのは顧問先における業務効率化です。顧問先の「業務負荷や残業コストなどの削減につなげる」業務効率化が当事務所のミッションと考えています。
顧問先の業務を俯瞰して見てみると、「『社労夢』に合わせること」がもっとも業務効率化を図ることができます。あくまでも一例ですが、給与計算で十数個の手当が付いている場合、計算ミスを引き起こす原因になり、無駄な労力が生まれる可能性があります。そこで、当事務所における最初のコンサルティングは、給与体系の見直しに重点を置き、基本給+役職手当+プラス1〜2個の手当、そこに時間を分単位で管理する仕組みのシンプルな給与体系を提案させていただいています。その新たな給与体系を『社労夢』で運用すれば、顧問先も我々も業務を効率的かつ適切に進めることができます。
顧問先によっては、『ネットde顧問』を使うことに抵抗感があるのではないかと推測しますが、それについてはどのように対処されていますか。
確かにITを敬遠される顧問先は少なくありません。そのため、最初は「ちょっとExcelを勉強しませんか?」「ちょっとチャットでやり取りしませんか?」ぐらいのところから始めて、効率的に業務を進める仕組みを一緒につくり上げていくスタイルをとっています。少しずつ情報交換ができるようになると、顧問先自らステップアップを目指すようになります。ここまで到達すれば、ITに対する抵抗感は薄れていますから、『ネットde顧問』も受け入れてくれます。
『社労夢』で評価しているところをお聞かせください。
先ほどの利用状況で申し上げたExcel連絡表を評価しています。特に加工の必要もなく顧問先へ提供でき、そもそも馴染みのあるExcelファイルですから、顧問先は『社労夢』を意識する必要がなく、必要な勤怠データ等を入力するだけで済みます。顧問先に余計な手間をかけさせずデータの編集も不用で、100人分の給与計算の場合でも30分あれば作業を終えることができます。
2024年の定額減税では社労夢の豊富なデータ取り込みが役に立ちました。定額減税では住民税の各月への配置が例年と異なるため、金額の入力パターンを変更しなければなりません。後から手入力でも変更できますが、非常に手間のかかる作業になってしまいます。そこで当事務所ではCSVデータの取り込み機能を活用し、データの整備を速やかに行うことができました。
『ネットde賃金』も挙げておきたいですね。
実は『ネットde賃金』は、マスター登録を作り上げてしまえば、私の知る限り、給与計算システムとしては最上位クラスの使い勝手を有していると思います。
顧問先自社にて給与計算される場合でも、『ネットde賃金』の導入を推進しています。なかなか慣れた既存のシステムからの移行は容易ではありませんが、社会保険料の変更や細かな適法適切な設定を、『社労夢』を通じて共有しながらフォローできるため、顧問先の給与担当者の不安解消と、『ネットde明細』の利用でコスト削減も進めることができています。
こちらも一例ですが、業務効率化の近道として評価できるポイントですね。
社労士事務所としての今後の展望をお聞かせください。
強引な営業による顧問先獲得は、長続きしないと思っています。顧問先の利便性や業務効率化、職員の働き方や働きがいなどを意識した施策を継続しながら、紹介ベースで新規顧問先が増えていくのが当事務所にとってベストの形です。
また、エムケイシステムさんに対しては、『社労夢』の新バージョン『社労夢FOREVER』に期待しています。今後ともよろしくお願いします。