事務所の概要および主要業務についてお聞かせください。
私を含め、計4名で運営している少数精鋭の社労士事務所です。主な業務は労働保険・社会保険関係の手続代行、労災給付、雇用保険資格取得・喪失・離職票、健康保険給付、社会保険資格取得・喪失、月額変更届、賞与支払届、社会保険における被扶養者の追加・削除、在職中の給付など。2008年に杉本事務所を継承し15年の道のりのなか、地元を中心に約100社の人事・労務業務を請け負う社労士事務所に成長することができました。
事務的な手続きだけでなく、お客様から寄せられる人事・労務の相談にも積極的にアドバイスさせていただいています。スタッフ全員で対応できる当事務所の強みを生かし、制度や法律の情報共有、問題発生前後のご相談などにおいて、事務所一丸となってお客様をサポート。「強い会社になる!」を目指すお客様のお手伝いに全力を注いでいます。
■BCP対策とお客様側で給与計算ができる仕組みを評価して『社労夢』を導入
『社労夢』導入の背景をお聞かせください。
2つの課題をクリアするため、2014年に『社労夢』を導入しました。ひとつは、業務を行う場所を事務所に固定したくなかったというのがあります。その理由はBCP(business continuity planning/事業継続計画)対策です。甚大な被害をもたらした2000年の東海豪雨以降、名古屋市近辺は何度か集中豪雨にみまわれており、BCPの観点から業務の拠点を事務所だけに限定するのはリスクが高いと思っていました。
エムケイシステムさんからご案内いただいたクラウドの『社労夢』なら、場所や時間を問わず『社労夢』を利用できますから、事務所以外での業務が容易。外出先から「給与データが見たい」「顧問先様のマスターが見たい」といった場合でも、インターネット経由で『社労夢』にアクセスし、いつでも確認することができます。
もうひとつは給与計算における課題です。冒頭でもお話させていただいた通り、当事務所は少数精鋭のため、時間が拘束される給与計算代行は基本的にはお受けしていません。しかし、「給与計算をお願いしたい」というニーズは少なからずあるため、一部のお客様にはパッケージソフトで対応していました。ただ、バージョンアップの手続きやバックアップシステムの構築が煩雑なため、お客様側で給与計算ができる仕組みを模索していました。
『社労夢』をご案内いただいた際、お客様も利用できる関連製品のクラウドアプリケーション『ネットde顧問』の存在を知りました。『ネットde顧問』のなかの『ネットde賃金』をお客様に提供し、給与計算を行っていただければ、そのデータは当事務所で共有することができます。『社労夢』のハウスプランなら『ネットde顧問』を含めて利用できるため、すぐに契約させていただきました。
『社労夢』の障害によるサービス停止の問題が発生した際は、どのような対応をされたのでしょうか。
自分たちでセキュリティ対策を構築するのとは異なり、クラウドのセキュリティはユーザーの我々には見えないところですし、エムケイシステムさんで公開している部分以外は知る由もありません。そういう意味では、セキュリティ対策は懸念していました。「もしかしたら、こういった問題はあるかもしれない」と頭の片隅にあったため、そこまでの驚きや混乱はありませんでした。結果的に外部のプレッシャーによってセキュリティ対策の強度が引き上げられたわけですから、当事務所としては良い方に捉えています。
もちろん、お客様には申し訳ない思いで一杯でしたが、「加藤先生が悪いわけじゃないんだから」といっていただきました。心の広いお客様ばかりで、本当に救われたと思いました。
別の製品への乗り換えは検討されましたか。
『社労夢』に不安を感じたのは事実ですから、他製品の乗り換えも検討し、実際に数製品を試供させていただきました。結論としては『社労夢』がベストという判断です。長年使い続けてきたこともあって主観的かもしれませんが、『社労夢』には使い勝手の良さがありました。直感的な操作性や柔軟な項目作成など、あらためて『社労夢』の使い勝手の良さを知ることができました。
『社労夢』のオールインワンの利便性を考慮し、セキュリティ対策のリカバリ—推移を見守ることを前提に、「このまま『社労夢』を利用する」という判断をさせていただきました。
■『社労夢』が事務所の業務とお客様の業務の効率化に貢献!
『社労夢』の評価ポイントをお聞かせください。
<リモートワーク環境の構築>
スタッフの自宅にパソコン、ディスプレイ、プリンター一式を届け、私を含むスタッフ全員が事務所以外で仕事ができる環境を構築しました。これにより、体調に不安があるときや、雪などの悪天候のときなどはリモートワークが可能になります。また、普段でも希望すれば、いつでもリモートワークを許可しています。コロナ禍以前からリモートワーク環境を構築できたのは、クラウドアプリケーションの『社労夢』のおかげですね。
<『ネットde賃金』で給与計算を共有できる>
お客様に『ネットde賃金』を利用し給与計算を行っていただくことにより、その給与データをリアルタイムに共有できます。当事務所の負担軽減に加え、健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額変更届、算定基礎届、労働保険年度更新などの処理もスピーディーに行えます。さらに、『ネットde就業』による勤怠管理、『ネットde明細』による給与明細の共有など、『ネットde顧問』にはいくつもアプリケーションが搭載されています。こうした『社労夢』のシステムは、当事務所とお客様の業務効率化に大きく貢献しています。
<バックアップの切り分けができる>
『社労夢』で作成した申請などのデータは、『社労夢』側のクラウドにバックアップされる仕組みです。これに対し、Excelなどで作成した当事務所のオリジナル書類のデータなどは、当事務所独自のクラウドとオンプレミスのNASにバックアップするようにしています。このように、バックアップ先を上手く切り分けできていますから、BCP対策の観点からも安心感があります。
<労働保険事務組合の業務にも対応>
当事務所は労働保険事務組合の運営にも関わっていますが、『社労夢』は労働保険事務組合の機能も装備しているため、業務に支障はありません。労働保険も社会保険も、滞りなく手続き業務を遂行することができます。
最後にかとう事務所様におけるDX推進の展開をお聞かせください。
『社労夢』のほか、RPAやクラウドストレージサービスも導入し、当事務所におけるDXは一段落したと思っています。次は「もっと多くのお客様に『ネットde顧問』をご利用いただく」ことを考えています。コロナ禍を経て、お客様もデジタルやリモートワークへの取り組みはご理解いただけるようになりましたが、今現在の『ネットde顧問』の利用率は30%ほど。お客様と当事務所双方の業務効率化のため、もう少し『ネットde顧問』の利用率を上げていきたいと思っています。
ただし、奥ゆかしい地域性によるものか分かりませんが、積極的に勧め過ぎるとお客様は引いてしまいます。例えば、普段の何気ない会話のなかでさり気なく『ネットde顧問』の話を出す、あるいはお客様が当事務所にいらっしゃった際などに自然に「こんなやり方もあります」と『ネットde顧問』を見ていただく感じで、ソフトに推進していきたいと考えています。
引き続き、エムケイシステムさんのサポートにも期待しています。今後ともよろしくお願いいたします。
取材:2024年3月