ー社会保険労務士 吉田事務所の立ち上げ経緯をお聞かせください吉田一郎様:吉田事務所は1970年(昭和45年)に父、吉田賢太郎が設立しました。1968年に社会保険労務士法が議員立法により成立しましたが父は社会保険労務士の第1期生です。その頃勤めていた労働基準監督署の監督官をやめて独立開業をしました。また母もその10年くらい前から労務管理士として仕事をしており、父と母の二人で設立した事務所です。私と姉は2代目になります。1972年(昭和47年)に労働保険事務組合制度が発足しましたが、その翌年に労働保険事務組合を設立しました。ー全国労働保険事務組合連合会東京支部の会長に就任されていましたよね吉田一郎様:はい、2021年までの4期8年間会長に就いていました。今は労働保険事務組合連合会東京支部の東京労保連労働福祉支援センターの理事長に就いており、事務組合を設立したい方や承継したい方の支援を行っています。
現在も全国労働保険事務組合連合会の理事と、東京支部の常任理事を務めています。
事務組合機能一体型の「社労夢」で効率的に事業を進める
「導入経緯」
■事務組合機能が一括管理でき、コストダウンも叶う「社労夢」を選ぶ
ー「社労夢」を導入する前はどのようなシステムを利用していましたか。吉田一郎様:1970年代はすべての業務が手書きの時代でした。その後1980年代に給与計算と社会保険、労働保険事務組合の処理ができる5インチフロッピーを使ったシステムを、会計専門コンピュータ会社から導入して約5年間使用していました。その会社が倒産したために他社のオフコンシステムに変更しました。その後、オフコンシステムからパソコンシステムに切り替える時代に入ったことから、2002年(平成14年)にパソコンシステムパッケージ版の「社労夢」を導入しました。4年後の2006年には、クラウド版の「社労夢ハウス」に切り替えました。ー「社労夢」に切り替える決定打はなんでしたか?吉田一郎様:まずはコストです。オフコンシステムと比べると、社労夢は導入価格が半値近くのコストダウンができ、バージョンアップや法改正にも自動で対応できることを知って安心して導入したことを覚えています。それまで導入していたオフコンシステムは年間メンテナンス料も高く、大きな制度改正があると別途費用がかかっていました。オフコンシステムで事務組合システムも使用していましたが、「社労夢」で一括管理できることにも魅力を感じました。そこから現在まで約20年間利用し続けています。
■クラウドシステムなので法改正は自動的にバージョンアップされ意識する必要がなくなった
ー社労夢導入後で特に便利に感じているところはなんですか?吉田一郎様:オフコンを使っていたときは、バージョンアップの度にフロッピーが送られてきて、自分たちでバージョンアップをしました。複雑なメンテンナンスの場合はメーカーの技術者に来て貰う必要がありました。社労夢を導入してからは、バージョンアップや法改正に無料で対応してくれるので大変助かっています。またクラウド版の社労夢に切り変えてからは、法改正や料率の変更は完全にサーバーで自動的に行われるので我々が意識する必要がなくなったのがありがたいです。吉田栄子様:あとはサポートセンターもよく活用していますね。職員が直接連絡して、丁寧にご指導いただいています。昔はサポートに電話してもつながらず対応が遅い印象でしたが、最近はかなり改善されていると感じました。電話だけでなく、FAXで質問を送ると、当日夕方や翌日には対応してもらっています。吉田一郎様:社労士業務と事務組合業務が一体になった安定したシステムだと思います。今後も社労夢システムと共に、効率的に事業を進めたいですね。ー以前はユーザー事務所が増えたために、サポート要員が足りず追いつかなかったという事がありました。今はサポートセンターで一時受けメンバーが、電話は絶対につながるようにして、質問内容は担当者に回すという対応をしています。
「運用方法について」
ー登録されている事務組合名とそれぞれの委託事業主の数はどれくらいでしょうか?吉田一郎様:弊所では、2つの事務組合と1つの一人親方労災組合が認可されています。1973年に近代労務管理協会、1981年に近代建設業自営者組合を父が設立し承継しました。近代雇用管理協会は父の教え子である先生がご高齢になり、12年前に引き継ぎました。委託事業主の数は、近代労務管理協会が約250件、近代雇用管理協会が約150件、一人親方が約250件の、計650件です。ー現在標準機能になっている労災保険特別加入者証作成の機能は、吉田事務所様からご要望を頂き追加した経緯がありました。吉田一郎様:以前は、特別加入者証はカスタマイズソフトで作成していましたが、エムケイシステムさんに相談し、会員証の作成機能を「社労夢V5.0」から追加してもらったので助かっています。ー会員証だけでなく、国土交通省が実施している建設キャリアアップシステムの申請用紙も社労夢から印刷できるように順次対応予定です。吉田一郎様:弊所ではまだ依頼はないですが、機会が来ましたらぜひ活用します。
ー 一人親方労災組合の保険料の徴収はどのようにされていますか?吉田一郎様:今は振込にしています。ーコンビニ収納代行ができるように開発しています。アップデートにご期待ください。吉田一郎様:保険料納付がコンビニでできると便利ですね。コンビニ収納ができるとお客様の振込手数料負担が無くなり喜ばれると思います。今までカスタマイズでお願いしていました事務組合の元請けさんと下請けさんの保険料一覧や、担当者別の保険料一覧が打ち出せる機能が「社労夢V5.0」の標準機能に入ることは嬉しいです。他の事務組合様にも喜ばれる機能だと思います。ー今後の「社労夢V5.0」に是非ご期待ください。ー委託手数料の計算や徴収はどのようにされていますか?吉田一郎様:委託手数料は労災、雇用で人数計算しています。現状はその都度手計算をして「社労夢」に入力し、労働保険料と合わせて徴収しています。徴収方法は口座振替がメインで、総合コンピュータシステムPC方式のLIBOSシステムを使って総コンで口座振替をしてもらっています。それ以外は振込で徴収していますが、中には手集金や小切手を好まれる方もいらっしゃるので柔軟に対応しています。
「今後の戦略について」
■「社労夢」で業務効率化を推進し、コンサルティング業務を強化、時代に順応する事務所へ
ー全国の労働保険事務組合の傾向について教えて下さい。吉田一郎様:労働行政としては中小零細の労働保険の適用と徴収に関して労働保険事務組合に頼らざるを得ない状況なので、減るよりは増えるほうが委託率もあがり全体的に良い方向に行くと思います。行政も非常に協力的です。しかし全国ではこの20年くらいの間に約3000の事務組合が減少しており、非常に憂慮しています。中小零細企業で働かれる方たちが安心して、労災保険や雇用保険の適用を受けられるようにするため事務組合の果たす役割は大変重要であると思います。ー東京労保連労働福祉支援センターの理事長としての施策をお聞かせください。吉田一郎様:既存事務組合の世代交代が必要な場合に、承継が可能な社労士に紹介し、事務組合の廃止を極力少なくする取り組みを行っています。また新規に事務組合を設立したい方に、認可を取るまでの団体づくりや運営までの支援を3年かけて行っています。10年間で6組の組合承継と13組の新規認可の取得の実績を作ることができました。昔は事務組合を作るのが非常に難しいと思われていましたが、団体運営を2年間しっかりと行い認可申請をすれば行政からの認可はおりるので、今後も支援を行っていき事務組合数を減らさないようにしていきたいです。ー吉田事務所としての今後の戦略を教えて下さい。吉田一郎様:事務手続きが電子化されて、社労士業務もどんどん変わってきています。人事労務の相談業務も複雑化しておりスピーディーで正確な事務処理とコンサルティング業務を強化し変化に順応できる事務所の構築に努めたいと思います。
(取材年月:2021年12月)
組織名 | 社会保険労務士 吉田事務所 |
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所在地 | 東京都練馬区 |
URL | ウェブサイトはこちら |
導入システム | ネットde事務組合クラウド版 |
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団体 | 社労士事務所 |