社労士会員の90%以上が利用、会員端末の利用率向上に注力、 クラウドシステムSR-SaaSの利用率100%を目指す

(静岡SR経営労務センター会長 望月 芳夫 様)

ー事務所概要と貴センターの特徴について教えて下さい。

望月様:
静岡SR経営労務センターは、1988年(昭和63年)2月20日設立、同年4月1日付で労働保険事務組合の認可を受けました。30年余、労働保険事務組合の業務を主体として事業展開をしてきました。当センターの主な業務は、事業主の皆様に代わって、「労働保険(労災保険・雇用保険)」にかかる事務・手続きを代行することですが、当センターの特徴は、事務組合と委託事業場との間に、社会保険労務士が介在しているところにあります。

社会保険労務士事務所は顧問先を当センターに入会させる形で事務委託をしてもらい、労働保険の年度更新に必要なデータは社会保険労務士に責任を持って収集してもらう、各種事務手続きについても事業場を担当する社会保険労務士に行っていただくという特殊な運用をしています。これは労働保険事務組合を設立していない社労士事務所、労災保険の特別加入を希望される中小事業主の利便性のために行っている事業になります。



ー現在の受託件数を教えて下さい。

望月様:
現在の受託件数は、5,233件(事業場数/2021年12月8日現在)であり、県内でも委託事業場数の多い事務組合となっています。これもひとえに県内中小事業主会員の皆様並びに社労士会員の皆様に支えられてきた結果です。また、一人親方組合への加入者数は、同年12月8日現在、2,041名です。

(左から、事務局次長 佐久間 弥生 様、会長 望月 芳夫 様、常務理事 稲川 忠久 様)

「導入経緯・ネットde事務組合(SR-SaaS版)の利点」

■時間と場所を選ばないというクラウドの利点を最大限活用、会員も事務局も負担を大幅軽減

ー導入した経緯を教えて下さい。

望月様:
もともとは別会社のWindows版事務組合システムを利用していましたが、2004年にパッケージ版「社労夢」を導入しました。その頃の常務理事が自身の社労士事務所で「社労夢」を利用しており使いやすさを知っていましたので、その方の判断で、パッケージ版の「社労夢」に切り替え、2012年に現在の「ネットde事務組合(SR-SaaS版)」に変更しました。


導入に踏み切った理由ですが、社労士事務所の顧問先の労働保険料の計算を行う関係で、社労士事務所から送られてくる大量の賃金等の報告書や一括有期事業報告書などを、社労士事務所ごとに仕分けをして短期間に入力を完了させる必要がありました。申告期限が決まっていることから、誤ったデータがあった場合などは社労士事務所に確認しながらの作業が必要で本当に大変でした。

これを一挙に解決してくれるシステムが、「ネットde事務組合(SR-SaaS版)」だったのです。社労士事務所のパソコンから、「ネットde事務組合(SR-SaaS版)」の会員端末システムを起動することにより、年度更新データの入力などが各社労士事務所内や出先で行うことが可能になり、また、データを事務局のパソコンに保存していた際のデータの消失等のリスクも回避できるようになりました。

このように、センター事務局の処理負担を大幅に軽減できたことや、社労士事務所の利便性が大きく高まりました。



ー「ネットde事務組合(SR-SaaS版)」に切り替えてよかったところはなんでしょうか?

望月様:
導入当時、価格と性能の点で他と比べても優れており、当時から完成度は高かったと思います。
また、年度更新事務においては、限られた時間のなかで全事業場(約5,000件)の賃金等のデータ入力をしなければならないところ、各社労士会員が自身の都合のよい時に「会員端末システム」でSR-SaaSにアクセスして担当事業所のデータ入力を行っていただけるので、会員端末システムの利用率が年々高くなってきた昨今、事務局としても年度更新業務の省力化・簡素化を図ることが可能となり、働き方改革という面でも大きな利点になっていると思われます。

ー特に便利に感じている機能はなんでしょうか?

佐久間様:便利に感じているところはいくつかあります。
事務局としては、過去のデータを社労夢の中に保持でき、さらにテキスト変換という機能を使って社労夢に入力をしたデータを加工することが容易にできるので、総会などで必要な事務所の数や推移、基幹番号ごとの保険料の総額などすぐに集計できる点が大変便利だと思います。必要な基本データがすべて社労夢という一つのシステムの中に収まっていて、データの取り出し、加工ができる点が最大の利点ですね。

また会員端末システムでの年度更新処理では、手書きの場合は同じ内容でも何度も繰り返して記入が必要ですが、社労夢には入力データの以降コピー、前行コピー、労災賃金コピーなどのボタンがあり複写が簡単にできます。

特に二元適用事業ではランダムに工事内容を入力しても、業種ごとの集計を自動計算してくれます。別のソフトやエクセルで、社労士の方が独自に賃金データや工事内容データを作成している場合であっても、総額を入力することで、保険料の算定ができるようになっています。外部データを指定されたフォームに入力することで年度更新データとして取り込むことが可能なところもいいですね。このあたりの機能を社労士会員も有効に活用していると思います。

これも先程述べましたが、社労士会員の皆様にとっては、導入後、賃金などの報告や一括有期事業総括表、一括有事業報告書の作成が電子化でき、ご自身の委託事業主様の労働者の賃金や、工事内容・請負金額を社労夢に直接入力できるようになり、事務作業の省力化につながっています。また、限られた時間のなかで年度更新処理をしなければならないため、事務局と社労士会員が同時進行でデータを構築していけることも大きな利点です。

「ネットde事務組合(SR-SaaS版)」はクラウドシステムで運用されているため、社労士会員がバージョンアップをご自身でする必要がなく、最新の状態で使用できるところも助かっています。

社労士会員の方々にとっては時間と場所を選ばずにインターネット環境が整っていれば入力が可能であることが魅力だと思います。
社労士会員の方に環境設定の画面で入力していただく範囲や入力期間の設定が、事務局側で簡単にできるようになっているのもありがたいです。

全体を通していうと、いろいろな事案の入力方法が確立していることや、入力用マニュアルがあること、サポートセンターへの問い合わせができることも魅力だと思います。

「運用状況」

■電子化推進を積極的に進め、電子申請利用率を向上させる

ー確定賃金や一括有期の入力、雇用保険得喪関係、賃金などを含めた電子申請関係の利用状況について教えて下さい。

稲川様:
最初はうまくいかないところも多々ありましたが少しずつ使い方を変えていき、令和3年度年度更新時では、4,966件の事業場数のうち4,709件が「ネットde事務組合(SR-SaaS版)」会員端末からの入力で対応をしており、94.82%の利用率になります。また社労士会員276名のうち249名が会員端末システムで入力をしており90.22%の利用率を達成できました。事務局としては、社労士会員からの紙での賃金等の報告書は0にして、SR-SaaSで各事業所の賃金を報告して貰う等による利用率100%を目指しています。

ー全国のSR経営労務センターの中では、断トツに高い会員端末の利用率だと思います。社労士会員の先生方への電子申請利用を促すために行ったことはなんですか?

望月様:
毎年、「ネットde事務組合(SR-SaaS版)」の研修会を、講師をエムケイシステムさんにお願いして、静岡県東部・中部・西部の3会場で行ってきました。実際に会場でパソコンを使いながら実践に即した形で入力が体験できるので、新規加入の社労士会員の方や、年に一度の作業のために再度確認をしたい方に参加いただき、年度更新処理がスムーズに行える助けになっているのだと思います。また「ネットde事務組合(SR-SaaS版)」の会員端末を利用した社労士会員へは補助金のバックなども行っています。


社労士会員の中には、年度更新処理のための入力が可能となる4月の期間中に、12ヶ月分の賃金を1件1件入力してくださる社労士会員もいれば、1年間の賃金合計のみ入力してくださる社労士会員もいて、使い方はそれぞれですが、いかに会員端末の利用率を上げるかに重きを置いてきた結果だと思います。



ー静岡県の開業社会保険労務士全体の中での「ネットde事務組合(SR-SaaS版)」の利用率はどれくらいですか?また静岡県社会保険労務士会として電子申請対応の推進も行っているのでしょうか?


稲川様:
開業社労士612人のうち社労士会員は322人なので、開業社労士の50%以上が利用している事になります。今年から県社労士会としても電子申請を積極的に推進していくための講習会を行っておられるようですが、やはり業務の電子化を進めていかないと、社会保険労務士としても今後は立ち行かなくなると思われますので、今後もSR-SaaSの利用率や電子申請への利用率はアップさせていきたいです。

静岡SR経営労務センター

ー委託手数料の計算はどうされていますか?また保険料や委託手数料の徴収はどのようにされていますか?


佐久間様:
「ネットde事務組合(SR-SaaS版)」のシステムの中でエムケイシステムさんにカスタマイズをお願いして、会費と手数料の自動計算ができるので大変助かっています。請求は労働保険料と一緒に合算する形で納入通知書を発行し、口座振替や振込で入金をしていただいています。以前は第3期分の保険料と一緒に手数料の請求をしていましたが、6年前ぐらいに規約を変更して、今は第1期の保険料の際に請求しています。そのおかげで未納が一挙に減りました。保険料の徴収は、基本は総合コンピュータシステムのLIBOS連携で口座振替にしています。締め切りに間に合わない新会員などは振込で対応していただいています。



ー 一人親方の請求はどのようにされていますか?

佐久間様:
一人親方として労災保険の特別加入の承認をされている方々については、事務局で使用している社労夢システムで一人親方データを管理しているので、毎年1月に一括でデータを抽出し、翌年度の継続加入の意向確認等をした後、保険料と会費を合算した振込用紙を作成し、請求しています。


なお入金方法としては、継続して特別加入される場合には、銀行・郵便局での振込の他に、一人親方用に、コンビニ窓口からでも地元銀行の口座に収納ができるようにシステムを開発したので、一人親方の方々にも納入していただきやすい形となっています。

「今後の戦略について」

ーコロナ以降以前で変えてきたことなどありますか?


稲川様:
先程もお話しましたが、年度更新の説明会をコロナ前は東部・中部・西部で行っていましたが、コロナで開催できなくなったのと社労士会員のみなさんがシステムに慣れてこられたので、今は静岡SRのウェブサイトに説明会の動画を掲載する形に変更しました。自分たちで作った資料に音声を載せたもので「ネットde事務組合(SR-SaaS版)」の画面なども入った動画です。この資料の紙バージョンは社労士会員にお送りしています。



ー貴センターへの社労士会員の増減は以前と比べてどうですか?また今後の戦略として考えていることなどあれば教えて下さい。

稲川様:
新しく入会される方もいれば、高齢等で退会される方もいるので、伸び率としては微増です。
今後は、社労士会員の方々がSR-SaaSで入力していただいたデータを集約し、その電子データを添付する形で、事務組合として年度更新の申告を電子申請で行うことや、日々の労働保険の書類提出を100%電子申請で行えるようにしていきたいです。書類提出を紙面から電子へ移行していけば社労士会員の利便性が上がり、時間の短縮、経費削減、紙保管が不要で省スペース化等ができ、同時に事務局の事務処理の省略化につながると考えています。


(取材年月:2021年12月)

組織名 静岡SR経営労務センター
所在地 静岡県静岡市
URL ウェブサイトはこちら
導入システム ネットde事務組合SR−SaaS版
団体 SR経営労務センター

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