「開業社労士の支援」を理念に社労士のIT力向上に貢献 システム利用を促進し会員や事務組合利用の増加を目指す

(写真は中小企業福祉事業団 川口 義彦 理事長)

ー貴団体の概要及び設立の経緯、業務内容をお聞かせください。

川口様:中小企業による社会福祉活動が迅速、かつ円滑に成就できるよう、社会保険労務士事務所への業務支援を通して、中小企業への直接・間接の支援活動を行っています。その結果として、中小企業経営と国民経済および国民生活の健全な互恵関係の維持、発展に貢献できればと思っています。現在、幹事社労士5370名が入会されており、全国の開業社労士事務所の24%を占めています。


ー労働保険事務組合として傘下の社労士さんが、責任を持って労災保険の特別加入などの事務処理を行う仕組みは、中小企業福祉事業団(中企団)さんが構築されたと聞きました。

川口様:そうです。1978年9月に日本社会保険労務士団体中央会(中央会)と全国社会保険労務士会東京会が合併し、東京都社会保険労務士会が設立されました。中央会は消滅しましたが、1970年に設立された中企団はその理念である「開業社労士の支援」を引き継いでいます。その柱となるのが「労働保険事務組合事業」であり、社労士が労災保険への特別加入などに関する事務処理を行うという、社労士業界全体において新たな社労士支援モデルを体現したものだと言えると思います。



ー弊社は「ネットde事務組合 SR-SaaS版」の製品名で、全国のSR経営労務センターにお使い頂いています。

川口様:まさにエムケイシステムさんが提供されているシステムは、中企団が作り上げた社労士支援モデルをシステム化されたものだと思います。中企団の労働保険事務組合事業は、その基幹業務のノウハウをオープンソースとしたことから、社労士連合会の会長と専務理事が私を訪ねて来られたときには、事業構築に関する細かな点までお教えしました。
また、東京SR経営労務センターの設立時には、その運営について中企団から理事を指導に当たらせるなど、一団体の利益にとどまることなく、社労士業界全体に資する仕組みを提供しました。その後、東京・大阪をはじめ全国の都道府県で「SR経営労務センター」として広がりました。

写真左から事業部の千葉様と松江様

ー開業社労士の約24%が貴団体に加盟されていますが、選ばれる理由はなんでしょうか?

千葉様:幹事社労士向けの研修が充実していることが、まず一番目でしょうか。毎月定期的に研修会を行いWEBでの配信やDVDでの提供を行っています。次に幹事社労士事務所の経営支援として「高度化事業」というサービスを提供しています。これは開業社労士事務所の経営を安定させ強い社労士事務所になることを目的とし、様々なツールを準備しています。
特にその中でも「社労士サーチ.com」は、全国の幹事社労士を得意な業種や業務で検索できるサイトになっており、そのサイトへの掲載が入会動機になっている方もいらっしゃいます。詳細は中企団のホームページをご覧ください。https://www.chukidan.com

また、中企団では大手の保険会社などと業務提携をしています。その大手企業が開催するセミナーに講師として幹事社労士をご紹介しています。また先程川口が話しました労働保険事務組合事業も、1都3県の幹事社労士事務所を中心にご利用頂いています。


ー研修会はコロナ以前以降で変わりましたか?

千葉様:以前は対面で行っていましたが、今は講義内容を収録したもののWEB配信とDVDのご提供がメインです。東京ですと、弊団以外にも研修会の主催団体も多くありますが、他の地域だとあまり多くないというお話しもあり、幹事社労士の先生方から「助かっています」というお声をいただけることも多いです。研修会の頻度は、コロナ以前以降も変わっていません。ご要望の多いものや、年更・算定時期に合わせたもの、また法改正やハラスメント対応など旬のものをピックアップしていきながらテーマを決めています。今後も研修には変わらず力を入れていきたいです。

「導入経緯」

ー導入した経緯をお聞かせください。

千葉様:元々は他社の、事務組合用オフコンシステムを利用していましたが、法令改正や業種料率のバージョンアップの度にフロッピーディスクを送ってもらったり、開発の担当者に来てもらったりしていたことにかなり不便を感じていました。
Windowsが世の中で普及しており、様々なシステムがパソコンに移行していたことから、2006年頃だったと思いますが、弊団でもWindows対応の事務組合システムの検討をはじめました。色々なシステムを検討しましたが、エムケイシステムさんがWindows版を出した直後で、ネームバリューや導入数の多さなどで社労夢の事務組合システム一択での検討になりました。

約2年をかけて開発や営業の方とシステムについての詳細な打ち合わせ後、2008年にパッケージ版事務組合システムを導入しました。その後、2013年にクラウドの「ネットde事務組合 SR-SaaS版」に移行しました。


一般的な導入に比べ2年間は長いと思いますがどのような検討をされたのでしょうか?

千葉様:中企団の労働保険事務組合は、幹事社労士が顧問先様を委託していただくケースが多いです。年度更新の賃金等の報告書や一括有期事業報告書は、その幹事社労士が作成し中企団事務局に提出されます。また労災特別加入者の変更処理なども幹事社労士が行います。納入通知書などの請求に係る書類の作成や送付、保険料の徴収は事務局で行いますが、未徴収の対応や督促は幹事社労士が行います。
そういった事からオフコンシステムの時代から、中企団、幹事社労士、委託事業所の間で、様々な書類のやり取りが発生し、それをカスタマイズしてシステム化してきました。エムケイシステムさんの事務組合システムは一般的な事務組合向けに開発されていたことから、弊団の仕組に合うように大幅なカスタマイズが必要でした。その打ち合わせに2年間を要したのです。


ーどのようなカスタマイズをされたのでしょうか?

千葉様:一番大きなカスタマイズは幹事社労士ごとに委託事業所が区分される部分です。すべての管理帳票は幹事社労士ごとに作成されます。また、労働保険料の入金管理についても細かくカスタマイズしてもらいました。それ以外にもたくさんありますがお話をすると長くなるので割愛します。

■オフコンからの載せ替えで作業効率が格段にアップ 法改正時も自動バージョンアップで安心

ー便利に感じている点はどこでしょうか?

千葉様:もともと当時は、オフコン担当の方が属人的に更新や法令改正に対応してもらい時間がかかっていたのですが、社労夢を導入してから圧倒的に早くなりました。カスタマイズが複数入っていることもあり、エムケイシステムさんの開発担当者に直接依頼ができ、話が早いのでありがたいと思っています。また、Windows版は起動時間やマシンの処理スピードが格段に早くなったのも非常に助かっている部分です。クラウド版になってからは、法改正等のバージョンアップも自動的に行われるので、我々が気にする必要がなくなりました。


ーカスタマイズでは特にどういう部分を便利に感じていますか?

千葉様:幹事社労士宛の帳票が担当者ごとに管理できる点です。以前は、アナログ作業で、時間を掛けて入力・整理していましたので、とても大変でした。1からに近い形で、当時の開発担当者にすべてカスタマイズしてもらいました。その後も運用していく中でも都度追加でカスタマイズをしてもらっている点は、助かっています。

「運用方法」

■会員端末の導入で幹事社労士は事務局への来所が不要に。時間も手間も一挙に省力化を実現。

ー幹事社労士と労働保険番号の数や、電子申請の運用について教えて下さい。

千葉様:現在、中企団には全国で5370名の幹事社労士に加盟していただいており、そのうち事務組合を利用できる幹事社労士が2530名くらいです。設立当初から比べると10倍以上に増えています。会員数が増えるにしたがって労働保険番号も増えるので、そのカスタマイズもお願いしました。労働保険番号(基幹番号)は現在31個使っています。
2013年にクラウドの「ネットde事務組合 SR-SaaS版」の導入をきっかけに、事務局システムと連動する会員端末システムを導入しました。これまでは委託事業所の雇用保険の手続きの場合、幹事社労士が中企団事務局まで来て、必要な手続書類に捺印をしていましたが、会員端末で電子申請まで完了するので利便性は高まっています。


ー労働保険料の徴収と委託手数料の計算や請求方法についてはどのようにされていますか?

松江様:委託手数料の計算はすべてカスタマイズで作ってもらい、システムの中で計算しています。また、納入通知書に記載されますので、保険料と合算をして請求しています。
徴収方法は口座振替サービスを使っています。システムの中に連携がありますのでそれを使って口座振替データを作成しています。現在は全委託事業主の中で口座振替が7~8割を占めており、残りは振り込みです。振込用紙もシステムから出力しています。振込後の入金結果の消込もカスタマイズをしてもらいました。戻ってきた入金データを、保険料・委託手数料に分解して消込を行っています。


ー請求方法は今後コンビニ収納代行にも対応予定ですので、ぜひご活用ください。

松江様:徴収方法の幅が広がるのはありがたいです。運用を踏まえ、検討していきたいと思います。

「今後の戦略について」

ー中小企業福祉事業団として現状の課題と今後の展望をお聞かせください。

千葉様:デジタルで対応できる部分を広げていくというのが課題です。電子申請の利用率も今後もっとアップしていきたいですし、行政がまだ紙の部分も多いのでそこも課題に感じています。現在は「ネットde事務組合 SR-SaaS版」会員端末を雇用保険の電子申請にしか利用していませんが、他に活用できるともっと便利になると考えています。エムケイシステムさんの次期バージョンシステムへの移行と同時に検討したいと思います。
理事長の川口の設立当初の理念でもあります「中小企業とそこで働く方々との健全な互恵関係の維持、発展」のためにお役に立つサービスを提供して行きたいと思っています。また、今後も中企団の理念を発信し続け、多くの社労士の先生方とともに活動をしていければと思っております。

(取材年月:2021年12月)

組織名 中小企業福祉事業団
所在地 東京都台東区
URL ウェブサイトはこちら
導入システム ネットde事務組合SR−SaaS版
団体 中小企業福祉事業団

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